入会ご案内

【開催終了】「第2回 産地カンファレンス in 高山 2018」報告

【日時】

平成30年5月18日(金)曇り 13:30~17:30(カンファレンス)

平成30年5月18日(金)曇り 19:00~21:00(懇親会)

平成30年5月19日(土)晴れ 08:00~11:30(工場見学会)

【場所】

カンファレンス:飛騨・世界生活文化センター(岐阜県高山市千島町900-1)

懇親会:ひだホテルプラザ(岐阜県高山市花岡町2-60)

工場見学会:飛驒産業株式会社(岐阜県高山市漆垣内町3180)①本社工場 ②飛驒職人学舎

【主催】

一般社団法人日本工芸産地協会

【協力】

飛驒産業株式会社、岐阜県立高山工業高等学校

【協賛】

西日本旅客鉄道株式会社、株式会社日本政策投資銀行、高山商工会議所

【後援】

経済産業省、文化庁、中部経済産業局、岐阜県、高山市、

独立行政法人中小企業基盤整備機構、日本商工会議所、

飛騨地域地場産業振興センター、飛騨木工連合会

 

【開催趣旨】

日本の工芸を取り巻く現状は極めて厳しく、需要の縮小、原材料の枯渇、産地の構造問題、ものづくりの担い手の確保など、解決すべき問題が山積している。岐阜県高山市には、豊かな自然と脈々と受け継がれる「飛騨の匠」と呼ばれる優れた職人の技術があり、それを補う工業機器を受け入れることで工芸と工業の調和を見事に体現するとともに、家具の産地として独自の成長を遂げている。また家具職人の育成が域内で活発に行われ、あらたな担い手として多くの未来の匠を生み出している。

工芸、産地の担い手が飛騨高山に集い、これからのものづくりのあり方を問いかけ、ひとづくり、まちづくり、教育を通じ、どのようにして地域へ人々の関心を集め、高めていくべきか、気づき、学びを得るとともに、考える場として『工芸と工業の次』と題し、日本工芸産地協会は「第2回産地カンファレンスin高山」を開催した。

 

 

【来場者内訳】

■都道府県別 / 業種別

居住地域 人数(人) 分類1 分類2 人数(人) 小計(人)
岩手県 5 行政 省庁 4 42
山形県 1 17
茨城県 1 市町村 13
埼玉県 1 独立行政法人 8
千葉県 2 メーカー

ものづくり団体

会員 51 150
東京都 42 工芸メーカー 65
神奈川県 2 作家/職人 16
長野県 2 財団法人 8
新潟県 6 協同組合 10
富山県 9 デザイン プロデューサー 3 16
石川県 13 デザイン 13
福井県 11 流通 商社 3 12
静岡県 1 小売 8
愛知県 20 流通 1
岐阜県(開催地) 219 観光交通 観光 2 2
三重県 2 金融 金融 12 12
滋賀県 3 報道 TV局 1 9
京都府 5 新聞 7
大阪府 9 ウェブ 1
奈良県 13 その他 学校 11 139
島根県 3 企業 16
広島県 1 個人 23
香川県 2 団体 9
愛媛県 2 学生 80
高知県 1
佐賀県 3
長崎県 2
鹿児島県 1
合計 382 合計 382 382

 

開催地である岐阜県高山市は東京、大阪からのアクセスがそれぞれ約4時間30分ということで、参加者にとって負担が大きく人数の集まりが懸念されたが、コンテンツへの関心の高さとともに、後援団体による広報への努力が実り全国28都府県より382名と多くのご参加をいただいた。

 

【開催内容】

・日本工芸産地協会会員企業の商品・パネル展示

カンファレンス会場となった飛騨世界生活文化センター・飛騨芸術堂ロビーにて、主催者である日本工芸産地協会会員企業14社の商品および会社紹介パネルの展示を行った。

 

 

   

・飛驒職人学舎による作品展示

・岐阜県立高山工業高校による木工工作キットの展示

「飛騨の匠」の次世代を担う、飛驒産業株式会社内にて運営される飛驒職人学舎の生徒作品の展示、岐阜県立高山工業高等学校による木工工作キットの展示を行い、それぞれの現役学生に展示品に関する説明をいただいた。

 

 

 

・飛騨春慶(ひだしゅんけい)弦楽四重奏

イタリア・クレモナ市の弦楽器製作の世界的名工、リカルド・ベルコンツィ氏と、飛騨春慶(江戸時代に飛騨高山で生み出された透き漆と呼ばれる半透明の漆を用いて仕上げる技法)の現代の名工、熊崎信行氏との合作で2013年に製作された『飛騨春慶弦楽器』。高山市役所・生涯学習課の協力を経て名古屋芸術大学の卒業生の方々に演奏いただき、カンファレンスを彩った。また、開催地である高山市より副市長の西倉良介氏にご登壇いただき、弦楽器のご紹介とともに歓迎のご挨拶をいただいた。

 

 

・基調講演『飛騨の匠を育てる』5月18日(金)13:30~14:30

岡田贊三氏(飛彈産業株式会社・代表取締役社長)

  今回のカンファレンスのホスト企業である飛驒産業株式会社・岡田氏が、飛騨高山の歴史、地域性、家具生産開始の経緯、飛驒産業株式会社の成り立ちについて講演いただき、同社内で進行する職人育成プログラム『飛驒職人学舎』の生徒をご紹介いただいた。

 

 

 

・パネルディスカッション①『工芸と工業の次』5月18日(金)14:40~16:20

赤木明登氏(漆作家・塗師)

中川政七氏(株式会社中川政七商店・代表取締役会長)

鞍田崇氏 (哲学者・明治大学理工学部准教授)

 

いま、ふたたび注目される手仕事。柳宗悦が提唱した『民藝』を糸口に、『工芸と工業の次』と題して、現代の社会に欠けていること、手仕事でのものづくりに対する共感、継承などについて幅広く議論いただいた。会場の参加者との質疑応答では、工芸品の海外展開、収益に対する考え方、民藝に変わる新しい言葉の定義について参加者からの質問に応じて三氏による意見が交わされた。

 

 

・パネルディスカッション②『地域で生きる、地方ではたらく』5月18日(金)16:30~17:40

平田オリザ氏(劇作家・演出家)

神山典士氏 (ノンフィクション作家)

演劇、芸術を通じてさまざまな地方、地域の活性化に取り組む平田氏、神山氏に、日本の人口減少問題、飛騨高山の現状を踏まえ、各地方の活性化事例のお話をいただいた。豊岡市の公民館活用と演劇家誘致、外国人観光客の大幅増の事例など、地域の強みを活かすポイントについて、ものづくりに携わる人々にとって普段とは違った角度からの議論が繰り広げられた。

 

 

・懇親会 5月18日(金)19:00~21:00

基調講演、パネルディスカッション終了後、会場を高山市内のひだホテルプラザへと移し、懇親会を行った。

参加者は110名。冒頭、主催者である日本工芸産地協会・副会長、能作克治理事による挨拶、地元高山市の高山商工会議所・会頭、北村斉氏による祝辞をいただき、飛騨産業・岡田贊三代表をはじめとする地元の方々が飛騨地方に伝わる祝い唄『めでた』を唱和して、域外からの参加者を出迎えた。

その後、参加者は自由に交流し、会場各所で活発な議論が交わされるとともに親睦を深めた。

 

 

・工場見学会 5月19日(土)08:00~11:30

翌カンファレンス2日目は、飛驒産業株式会社および飛驒職人学舎の見学会を実施した。参加者は130名。

日本工芸産地協会の運行するシャトルバスにてJR高山駅より移動し、飛驒産業の社員より工場内の製造工程の特徴についてレクチャーを受けた。職人学舎では現役生徒により教室、日常の生活などについて説明をいただいた。

 

  

 

【アンケート集計】
開催当日回収した参加者へのアンケート結果を報告する。

問1. 開催を知ったきっかけ

友人、知人紹介

14

SNS

2

ポスター・チラシ

7

新聞/ラジオ

2

当協会HP

5

関係者の紹介

2

・その他(地場産センターからのメール/仕事を通じて/協会からのメール)

 

問2. 関心項目(複数選択可)

工芸

17

地方

10

働き方

3

パネル①

16

産業

8

経営

2

パネル②

15

工場見学会

8

移住

2

基調講演

13

これからの暮らし

6

観光

1

問3.講演内容は参考になりましたか。

■〈はい〉

  • ・飛騨で夫婦で木工の仕事をしています。この先もこつこつ仕事を続けられるといいね、と常々話しています。今日はヒントになるお話を沢山聞くことができ、たいへん興味深かったです。
  • ・昔の若者への日本人の教育原点が見た。自己紹介等きちっと話せる若者をひさしぶりに見た。
  • ・最終 人と自然。物にはその人が出る。
  • ・それぞれ、実際の現場で働いている、活躍されている方の生の声に触れることで具体的な解決へのプロセスを気づかせてもらいました。
  • ・工芸=Art=工業・・・・OK! 私の生活は100%アート
  • ・最終的には人に帰結するということが改めて理解できた
  • ・全てよかった。成功例がわかりやすかった
  • ・工芸振興に携わり悩んでいることが多いですが、言葉にできない感覚、インスピレーションをいただきました。各地の事例にヒントをいただきました。
  • ・地元の会社「飛騨産業」について理解を深めることができた。またPD2では「東京より、パリ・ニューヨークを目指せ」との話はインパクトがあった。
  • ・講演、パネルディスカッションとも、とても参考になりました。地場産業、地域再生について、ソリューションを見出すことができました。
  • ・歴史的な価値の上に成長していること
  • ・今回のテーマは今後の工芸を考えることができた

■〈いいえ〉

  • ・第一部に関し、共感や発見もあったが、職人や現場目線からの声が少なくフワフワした内容だと思った。

 

問4.また参加したい(次回以降取り入れてほしい内容)

  • ・ぜひ参加したいです。劇作家の平田さんがどのように工芸の切り口で話をされるのか楽しみでした。また意外な方のお話が聞けることを期待しています。農業の方とか、料理人とか。
  • ・道徳の重要さを・・・
  • ・布、織物、染について
  • ・又、参加させていただきます。シンプルに本音でそれぞれの会員企業の方が最も大切にされていること
  • ・土地に訪ねて・・・カンファレンスに参加したい。
  • ・つばめ三条の取りくみ。エフスタイルさん。
  • ・参加企業との交流会
  • ・是非参加したい。次回は交流会にも参加したいと思う。
  • ・ぜひ参加したいです。地域に希望が持てました。
  • ・カンファレンスの次の施策として、何かしらでご一緒できるプロジェクトがあれば嬉しいなと思いました。たとえば、よりコアな多方面からのゲストを準会員として、その間で新たなものづくりやプロジェクトが生まれるプラットフォームづくりなどもいいかもしれません。その際にはぜひお声がけいただきたく存じます。
  • ・事業者だけでなく支援側とのやりとりがあると私にとっては大変参考になるかと・・・求める場所が違うことは理解していますが。

感想

  • ・すごく色々な面で興味を持ちました。有難うございました。中川さんが少し話された「教育」に凄く興味があります。第一部で話された内容について直接お話ししたく思いました。本来「職人」とは、作業の一端を担う「人」だけではなく、無から有を考え生める人だと思う。他人の必要を察知して自分たちのそれぞれのフィルターを通し、ゼロから考え作れる人。「大日本市」や「ててて」さんにもご招待いただき、色々な職人さんと話したが、ほとんどデザイナーが入り、職人は「手」になっていると感じました。私共は代々作風が全く違います。美意識や技術などソフト面を受け継ぎ、その時の頭首が「今」に合った物を考え作ります。大きな展示会を見て「0から1」の感覚を感じられる人が少なかった様に思えました。それは職人だけではなく、多くの人に言えることだと思います。そこには日本の戦後学校教育(出題者の意図する答えを見付ける教育)に問題があると思います。なので中川さんのnext stepである「教育」にすごく興味を持ちました。自分の考えを見直した時間になりました。有難うございました。 平田さんのお話を聞いて、ユーモアから生まれる「美」や「価値」を感じた気がしました。とてもとても楽しく学べました、有難うございました。
  • ・明日からまたものづくりにはげもうと思います。ありがとうございました。
  • ・全くこの企業とは関係ない主婦(消費者)ですが、旅をする度に工芸品を探しながら、製品を発見し、楽しみにしています。この企業の中にその製品があり、感動しています。今後の日本の発展の為にどんどん活躍して欲しいです。
  • ・イチローが野球を選んだから今がある。ちゃんとその価値の収入があるべき
  • ・有意義でした。
  • ・「工芸=民芸」区分しないで好い。生活の中にアートを必要とする「心」が必要。私は日常的に芸術談義を行う。言の交流が大切。飛騨人は飛騨産業のテーブル、イスを使っていて、食卓も--地元、春慶塗を使っている。
  • ・飛騨産業様の厳しい時代から今に到るまでのポイントが何だったのか、話を伺いたかった。
  • ・赤木氏、平田氏のお話がとてもよかったです。ロビーで書籍を購入しました。
  • ・大変参考になりました。
  • ・カンファレンスや登壇イベントなど、”教科書にのっているような内容”ばかりのものが多い中、今回のカンファレンスは、職人、経営者というプレーヤー目線で独自の解釈がなされていて、すごく為になるお話(というか、知りたかったナマナマしい部分?)が聞けてよかったです。特に、中川さんの経営者やブランドをまとめる立場であそこまで会社を大きくされた方が「言葉では説明できない、感覚的なよさがある。それが工芸、もとい民芸につながるのでは。」というお話は色々な意味で刺激になりました。
  • ・前線で活躍されている方たちが、ビジネス中心の話だけではなく「共感」や「思想」の話がたくさん聞けたことが一番の感動したところです。
  • ・パネルディスカッション1はよかったですね。伝統工芸に携わっている経営者の方の意見は参考になりました。

 

【主催者挨拶】

『第2回産地カンファレンスin高山2018』事前の準備、当日の運営には当協会会員企業の飛驒産業株式会社をはじめ地元高山市の皆様に多くのご協力をいただき、事故なく無事に終了することができましたことをご報告するとともに、後援団体におかれましては事前の広報活動にご尽力をいただきましたこと、あらためて感謝いたします。そして、平日の日中にもかかわらず遠路高山までご参加いただいた皆様にも重ねて御礼申し上げます。

一般社団法人日本工芸産地協会は昨年(2017年)3月に発足し、5月に第1回産地カンファレンスin高岡(富山県高岡市・株式会社能作にて)を開催、今回が第2回目の産地カンファレンスの実施となりました。実際に工芸、産地を背負ってたつメーカーが集い、自らの取り組みを自らで伝えていくべくすすめてまいりましたが、ご参加いただいた皆様からも多くの気づき、学びがあったとの声をいただき、手ごたえを感じております。過去の開催の反省点も踏まえ、来年の第3回目の開催はより充実した内容になるよう取り組んでまいりますので、ご案内の際にはご参加のご検討、また、告知のご協力など是非よろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、今回ご登壇いただいた岡田贊三様、赤木明登様、鞍田崇様、中川政七様、平田オリザ様、神山典士様、そして、日常の業務を調整してご協力いただいた飛驒産業株式会社および飛驒職人学舎の皆様に感謝申し上げてご挨拶を締めくくらせていただきます。

平成30年5月30日

一般社団法人日本工芸産地協会

理事・事務局長 原岡知宏

 

 

なお、「工芸と工業の次」でのトーク内容については後日、詳細レポートというかたちで報告させていただきます。

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※平日(月~金)9:00~17:00の対応となります。
土日祝・お盆・年末年始のお問い合わせは順次対応させていただきます。

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