入会ご案内

【開催終了】「第3回 産地カンファレンス in 会津若松 2019」報告

【日時】

令和元年5月17日(金)晴れ 13:30~17:45(カンファレンス)

令和元年5月17日(金)晴れ 19:00~20:30(交流会)

令和元年5月18日(土)晴れ 09:00~11:00(工場見学会)

 

【場所】

カンファレンス:会津若松市文化センター・文化ホール (会津若松市城東町14-52 )

交流会:会津・東山温泉 御宿「東鳳」 (会津若松市東山町大字石山字 院内706 )

工場見学会:アルテマイスター(製材工場・本社スカイビュー・本社工場 )

【主催】一般社団法人日本工芸産地協会

【共催】株式会社 保志

【協賛】西日本旅客鉄道株式会社、株式会社日本政策投資銀行、一般社団法人 awa酒協会

【後援】経済産業省、福島県、会津若松市、独立行政法人中小企業基盤整備機構、
    日本商工会議所、会津若松商工会議所

【協力】株式会社 三井住友銀行

 

【開催趣旨】

3回目の開催となる本カンファレンスのテーマは「祈りとしての工芸」です。機械化・工業化・効率化が進むにつれて、ものづくりの営みが人の手を離れて久しい昨今、日本の工芸は、極めて厳しい現状に置かれています。脈々と継がれてきた伝承のかたちも、変化を求められるタイミングでもあるかもしれません。そうした時代の変遷に動じることなく、たおやかな会津磐梯山に見守られるようにして、工芸的な営みが豊かに残るこの産地には、様々な工芸が今もなお息づいています。アルテマイスターは、会津若松の地場産業として1900年に創業し、人びとの「祈りのかたち」に寄り添い続け、まもなく120年を迎えます。手のひらを合わせて大切な人のことを思うとき、在りし日の思い出とともに悲しみや温もりの気持ちが灯ります。人の手が介在するものづくりや工芸の営みもまた、生み出される物に優しさや温もりを育みます。

『産地カンファレンス in 会津若松2019』では、工芸や産地の担い手たちがこの地に集い、これからのものづくりの在り方・素材へと向き合う精神性や地域における祈りのかたちを探ります。

 

 

【来場者内訳】

都道府県別 / 業種別
居住地域 人数(人) 分類1 分類2 人数(人) 小計(人)
北海道 北海道 1
行政
省庁 3
14
東北
岩手県 5 4
山形県 4 市町村 5
福島県(開催地) 136 独立行政法人 2
関東
埼玉県 1
メーカー
ものづくり団体
工芸メーカー 90
122
千葉県 1 作家/職人 14
東京都 27 財団法人 3
神奈川県 4 協同組合 7
群馬県 2 建築・設計 8
中部
新潟県 9
デザイン
プロデューサー 4
7
富山県 4 デザイン 3
岐阜県 10
流通
商社 7
19
近畿
三重県 3 小売 6
京都府 4 観光交通 6
大阪府 1 金融 金融 11 11
奈良県 8
報道
TV局 1
4
中国 島根県 2 新聞 2
四国
香川県 2 出版 1
高知県 1
その他
宗教法人 5
49
九州 沖縄県 1 経営コンサル 2
個人 25
教育機関 6
学生 2
保険 2
NPO法人 7
合計 226 合計 226 226

 

開催地である福島県会津若松市は関西方面からのアクセスにはたいへん時間を要するため、参加者にとって負担が懸念されましたが、コンテンツへの関心の高さとともに各地の会員企業や後援団体による広報への努力が実り、北は北海道、南は沖縄と全国20の都道府県より226名と多くのご参加をいただいた。

 

【開催内容】

1.対談 「祈りとしての工芸」13:40~14:30

山田節子氏(コーディネーター・株式会社TWIN代表)

保志康徳氏(株式会社 保志 代表取締役社長

対談では、1999年よりアルテマイスターのアンテナショップであるギャラリー厨子屋を立ち上げ、企業戦略企画の推進や社員教育全般に関わる株式会社TWIN代表 山田節子氏とともに、本カンファレンスのホスト企業である株式会社 保志 代表取締役社長 保志康徳氏のお二方にご登壇いただいた。地域や風土に根ざした個性と日本の伝統産業ものづくりを生かして挑戦を続ける同企業の経営精神について、山田氏と保志氏によって「祈りとしての工芸」というテーマでお話いただいた。

 

 

2.鼎談①「継ぎのかたち」14:30~15:40

志村洋子氏(染織家・随筆家)

志村昌司氏(atelier shimura代表)

モデレーター: 鞍田崇氏(哲学者 明治大学理工学部准教授)

鼎談①では、染織家・随筆家 志村洋子氏 と atelier shimura代表 志村昌司氏をゲストにお招きし、モデレーターには哲学者 鞍田崇氏を迎えて工芸やものづくりの「継ぎのかたち」についてお話を伺った。冒頭、atelier shimuraの取り組みを映像作品で鑑賞。自然のリズムに合わせて手作業による工芸を営む過程で生まれる祈りの気持ちや精神性について。地元の小学校の授業で草木染めの授業を取り入れる活動や、引退後の生きがいとなる手仕事の喜びについてお話いただいた。

 

 

3.特別企画.座談会「産地の一番星の取り組み」15:50~16:20

新夛謙三氏 (株式会社能作 販売部 部長) ②菅原祐輔氏(菅原工芸硝子株式会社 代表取締役社長)
③佐藤正樹氏(佐藤繊維株式会社 代表取締役)山田立氏(株式会社玉川堂 番頭)
⑤山口典宏氏(有限会社山口陶器 代表取締役)⑥中村卓史氏(有限会社中村節朗石材 代表取締役)

モデレーター:山田遊氏(株式会社method 代表取締役)

特別企画では、日本工芸産地協会の会員企業の代表者により各地での取り組みを紹介する座談会を行った。

 

 

4.鼎談②「工芸とまちの道すじ」16:20~17:35

ロバートキャンベル氏 (日本文学研究者・国文学研究資料館長)

室井照平氏 (第36代 会津若松市長)

中川政七氏(株式会社 中川政七商店 代表取締役会長)

鼎談②では、日本文学研究者・国文学研究資料館館長のロバート キャンベル氏と会津若松市現市長を務める室井照平氏をお招きし、当協会の代表理事であり、株式会社 中川政七商店 代表取締役会長を務める中川政七の三者で、”まち(町・街・産地…etc)”という文脈に対して工芸のあり方・関わり方について、各地の実例を交えて鼎談を行った。

 

 

交流会 19:00~20:30

カンファレンス終了後、会場を会津若松市内の東山温泉 御宿「東鳳」へと移し、交流会を行った。参加者は65名。冒頭、日本工芸産地協会・理事、立川裕大氏による挨拶、衆議院議員菅家一郎、会津若松市商工会議所会頭・澁川恵男氏による祝辞をいただき、「会津東山芸妓」をお披露目いただき、域外からの参加者を出迎えた。その後、参加者は自由に交流し、会場各所で活発な議論が交わされるとともに親睦を深めた。

 

 

 

・工場見学会 5月18日(土)09:00~11:00

カンファレンス2日目は、アルテマイスター(製材工場・本社スカイビュー・本社工場 )の見学会を実施した。参加者は70名。日本工芸産地協会の運行するシャトルバスにてJR会津若松駅より移動し、(株)保志の社員より工場内の製造工程の特徴についてレクチャーを受けた。

 

 

(以上、写真提供:株式会社 保志)

 

【アンケート集計】
開催当日回収した参加者へのアンケート結果を報告する。

問1. 開催を知ったきっかけ
友人、知人紹介 21 SNS 1
ポスター/チラシ 9 新聞/ラジオ 2
当協会HP 7 関係者の紹介 13
・その他(前回参加して)
問2. 関心項目(複数選択可)
工芸 24 工場見学会 8
対談 24 産地の取り組み 22
鼎談① 19 地方 8
鼎談② 14 暮らし方 8
働き方 4 観光 4
経営 2 ストーリー 2

◎特に印象に残ったセッションについて

・工芸と産業の両立について、とても考えが深まった。

・地元でこんなにステキな面々のお話を伺うことができとてもいい時間を過ごせました。

・すべてとても印象的でした。今後の仕事や社会のあり方は経済だけでなく思想の部分まで踏み込む必要があると痛感しました。

〈祈りとしての工芸〉

・保志代表と山田様の信頼・信念のタッグを感じた。

・どのセッションもたいへん興味深く聞かせていただいた中で、特に山田先生の「祈りとは何か?」というお話に深く感銘しました。

・山田先生の「デザインは使う人が『いいね!』と思わないと意味がない」という言葉が印象に残った。

・アルテマイスターの商品の祈りと工芸の姿勢を興味深く伺いました。

・時代とともに仏具も変えていく必要があり、その時代にふさわしい形をつくることで祈りのカタチの形骸化阻止に繋がるのではないかということ。

・「祈り」が伝統(家長制)からモダン(核家族)へ転移していく中で、「場」としての仏壇から厨子への転化をつくり手とコンセプターの立場から鋭利で軽やかな時間軸として提示した傑作トークに見えた。

〈継ぎのかたち〉

・60才からの生き方、生きがいについて考えることができた。

・作る人間の哲学がテーマである「祈り」に沿って話されていたから。話す言葉も表現が豊かで教養の高さを感じました。

・お話がとても聞きやすく動画も美しくイメージしやすかった。

・手工芸の継承について、興味深かった。 ・志村様の言葉が胸に響きました。

・「命のリレー」「集う人たちの話」きっと京都という立地もあるのでしょう。今の生活を見直すひとつの考えをいただきました。

・一番テーマに沿った内容だった。 ・興味深いを通り越して有り難いお話でした。

・生活工芸を営む過程で生まれる「祈り」について深く共感いたしました。それと同時に工芸品を制作する身として、忘れていた感覚や思想に気づかされました。

・ものづくりやいのちの考え方に触れられたのは考え深いところがあります。

・志村親子の言葉にとても共感し、手仕事の未来を感じた。

・草木染め、とても深い話に感心させられました。ものをつくる大切さを感じました。

・「工芸は人が必要なものを願いを込めてつくること」という話に興味を惹かれました。

・映像からものづくりのプロセスの神秘的な所に気づくことができた。ものづくりをする当人の思いを直に聞けて心に響きました。

・生涯の生き方についての話に感銘を受けた。 ・志村さんと鞍田先生のお話が思いがけず胸に残りました。

・工芸とは自然を壊すこと、この難しいテーマと常に戦いながら作品を生み出すことに大変な感心を受けました。

・一時期、染色・織りを学んだことがあり、手仕事の大切さ・面白さを再確認した時間だった。

・映像に表現された自然と向き合う文化の素晴らしさ。日常でも世代を追うごとに自然・四季への感受性が失われていくことを
実感する中で植物の内面に向き合う染織という手仕事の意味を改めて理解した。商品のさらなるモダン化へ期待。

・志村さんファミリーにおける染織技術の継承と人材育成の知恵。

〈各社の取り組み〉

・個人でものづくりをしているが、個人でも企業でも使う人が必要としているものを作り手は心を込めて丁寧につくることで伝わること、伝えられることがあるのかなぁと。ものに心が宿るために必要なことが少し見えてきたような気がします。

・産地の一番星の若手経営陣の方々にビジネスモデルの進化を説明いただく中で、日常の生活文化に広く浸透させることの必要性・意義を強く認識した。伝統の技術や文化をそれぞれモダンに転化しながら2025年に向けて「Arts de Vivre du style japanais」というパッケージで請求できないか。

・各地の皆さんの登場に胸熱くなりました。

・協会メンバー6社の活動紹介、とても良かったです。自己PRは常に必要だし、非常に興味深かったです。男7人並んでどうなることかと心配しましたが、50歳位まで苦労しておられると中身が濃い話で感動しましたが、次回は女性中心がもっと良いと思います。

〈工芸とまちの道すじ〉

・様々な産地の話が伺えた。

・それぞれの産地への考え方をもっと深く伺いたかった。

・中川氏のお話が興味深かった。

・文化史と工芸史を俯瞰して聞き手に対して工芸のものづくりの時空での位置付けを考えさせる興味深いセッション。

◎今後取り入れてほしいテーマ

・参加したい。伝統の伝承はどうあるべきか。変わる/変わらない どちらが良いのか。色々な視点から話が聞きたいと思います。

・実際の「体験」を取り入れていただきたい。(各社のいくつか)

・キャンベルさんのお話のように工芸と他分野の関わりについてのテーマが良いと思った。

・個人としての工芸、まちとしての工芸、国としての工芸や流通と産地の話について伺いたい。

・精神テーマと経済的なテーマ、内容が重いのでどちらか一方にするといいと思います。

・工芸を扱う会社それぞれの作り手・売り手・使い手のコミュニケーションの取り方について具体的な例を踏まえたようなものに興味がある。

・工芸と哲学(思想)

・手仕事に携わっている人同士のお話が聞きたいです。

・産地ツーリズムについてもう少し掘り下げて欲しい。次回は京都か金沢で開催して欲しい。

・世界の工芸、工芸と海外

・商品開発、工芸についての研究(市場・生産状況・国内外・インバウンド)、工芸産地のコミュニティ、国の制度を生かす(補助金等、民間行政の関わり方)、地域創生と地場産業、ここで学んだことを周囲に伝え共感してもらい協力して活動していく方法

・海外の工芸の在りようも知りたい

・いろんな地域の作家、プロデュースしている方の話を聞いて共有したい。

・実際に厨子をステージ上で見てもらうなどがあれば面白いかもしれない。

・染めの授業は取り入れてほしい。

・工芸品を日々の暮らしに上手に取り入れている方のお話が聞いてみたい。

・つくり手の方々のお話をもっとお聞きできれば嬉しいです。

◎感想

・とても心が豊かになりました。伝統工芸=ものづくりとして作品面のイメージが強かったが、参加してみると自分の潜在的に持っている興味・好奇心を揺さぶられた。

・このような講演を見て聞くことは大事だと思った。

・時間の長さを感じさせないとても充実した内容でした。

・各地でいろんな活動がされていますが、なかなか情報が伝わらないと思います。こういう機会をどんどん作ってほしいです。

・とても学べる内容でした。工芸を概念から見直すことができ、これからの取り組みに生かしたいと思います。

・人間が人間らしく生きるために手仕事は必要。一人一人再確認するとして情報をどう伝えるかが大切。有意義な時間でした。

・各地の志高いものづくりに携わる方々の話が伺えてたいへん有意義だった

・産地の興盛のためぜひ続けてほしいと思います

・「工芸」に集中できた密度の高い4時間余り。たいへん勉強になりました。

 

【主催者挨拶】

『第3回産地カンファレンス in 会津若松2019』事前の準備、当日の運営には当協会会員企業の株式会社 保志をはじめ地元・会津若松市の皆様に多くのご協力をいただき、事故なく無事に終了することができましたことをご報告するとともに、後援団体におかれましては事前の広報活動にご尽力をいただきましたこと、あらためて感謝いたします。そして、平日の日中にもかかわらず遠路会津若松までご参加いただいた皆様にも重ねて御礼申し上げます。

一般社団法人日本工芸産地協会は一昨年(2017年)3月に発足し、5月に第1回産地カンファレンスin高岡(富山県高岡市・株式会社能作にて)を開催、翌年5月に岐阜県高山市にて第2回産地カンファレンスを実施。本年、第3回の産地カンファレンスを行うことができました。

実際に工芸、産地を背負ってたつメーカーが集い、自らの取り組みを自らで伝えていくべくすすめてまいりましたが、ご参加いただいた皆様からも多くの気づき、学びがあったとのお声をいただき、手ごたえを感じております。過去の開催の反省点も踏まえ、次年度4回目の開催はより充実した内容になるよう取り組んでまいりますので、ご案内の際にはご参加のご検討、また告知のご協力など是非よろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、今回ご登壇いただきました山田節子様、保志康徳様、志村洋子様、志村昌司様、鞍田崇様、ロバートキャンベル様、室井照平様、中川政七並びに、協会会員企業の代表の皆様、そして、展示会シーズンのなか、業務を調整して多大なるご協力いただきました株式会社保志 社員の皆様方に感謝を申し上げてご挨拶を締めくくらせていただきます。

令和元年6月5日

一般社団法人日本工芸産地協会

理事・事務局長 原岡知宏

 

なお、「祈りとしての工芸」での講演内容については後日、報告させていただきます。

 

入会案内

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